記録史料学研究Ⅲ
デジタル・アーカイブズ論―
13B-F-007

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
下重 直樹 准教授
風間 吉之 講師
髙杉 美里 講師
吉田 敏也 講師
2 D/M 第1学期 5

授業概要

ICTsの発展にともなって、アーカイブズ機関のコンテンツがインターネット空間を通して自由に使えるという便益が得られるようになった反面、電子記録を将来にわたってアーカイブズとして伝えていくことができるかという難問は、アーカイブズ機関の業務等に根本的な再編成を迫っているとも言える。このような中で私たちは、やみくもに歩を進めるのみではなく、生起している多くの事柄の本質を大局的に理解することが求められる。
本研究では、その糸口となる大きな論点として、1)コンテンツ管理システムの変化、2)電子記録管理とアーカイブズ資源化、3)インターネット空間等を利用した活動とリアル空間での活動の複合・編成、の三つを採り上げ、理解を促す。これにあたっては、専攻の共通教科書でもあるKeeping Archivesの関連する章などから基礎的知識を摂取した上、日本で最も先端的で充実した活動を行ってきた国立公文書館の実務者を講師に迎え、具体例を交えながら講じていただくものとする。

到達目標

大きな可能性をもち展開しつづけるデジタル・アーカイブズの現状と課題について、基本的な理解を得る。

授業計画

1 オリエンテーション(下重)
 講義の目的と内容、教科書の講読分担等
2 デジタル・アーカイブズ序論(1)
 政策としてのデジタル・アーカイブズとその課題
3 デジタル・アーカイブズ序論(2)
 デジタル情報技術と記録史料学
4 Keeping Archives Chapter 10 Using Computers に学ぶ
5 Keeping Archives Chapter 13 Digitization & Imaging に学ぶ
6 Keeping Archives Chapter 15 Digital Recordkeeping に学ぶ
7 デジタルアーカイブ概論:デジタルアーカイブの意義に触れながら、基本的な仕組み、機能を紹介する。
8 デジタルアーカイブの具体的な事例として、国立公文書館デジタルアーカイブを取り上げ、画面操作を交えながら解説する。
9 デジタルアーカイブ連携とメタデータの関係からみる、デジタルアーカイブの現状と課題について解説する。
10 電子記録の一般的な特徴について触れ、その管理や保存、利用に用いられている機能を紹介し、各機能について考察する。
11 国立公文書館における電子公文書の移管、保存、利用への取り組みについて、電子公文書専用のシステムである「電子公文書等の移管・保存・利用システム」の話を交えながら、解説する。
12 国立公文書館のホームページやソーシャルメディアなど、デジタルコンテンツによる情報発信とデジタルアーカイブの活用について論じる。
13 講義のまとめと討論(下重)
14 総括
15 予備日
デジタル・アーカイブズとは、ほぼ全ての活動がデジタル情報技術を中心に運営されるアーカイブズ機関のことを言うが、世界的に視野を拡げても理念型であるにとどまる現実がある。一方、デジタル情報技術によりアーカイブズの情報やイメージ等を集積し、利用者に提供するシステムを指す表現として「デジタル・アーカイブ」が普及している。これらは、時として幅広く用いられるが、基本的には使い分けられる表現であることには注意を要する。

授業方法

講義を中心とするが、一部で教科書を分担報告してもらう。

準備学習

紹介した参考文献については当該授業までに読み進めておくこと。

成績評価の方法

レポート:50%(授業で述べられた課題の一つを取り上げ、研究を展開するものとする。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):50%(出席、積極的な参加、講読テキストの分担報告等。)
上記により総合的に評価する。
博士前期課程学生については博士前期課程科目の基準により、博士後期課程学生については博士後期課程科目の基準により成績を評価する。

教科書

Jakie Bettington eds., Keeping Archives, 3rd Edition, Australian Society of Archives, 2008

参考文献

岡本真・柳与志夫編『デジタル・アーカイブとは何か 理論と実践』、勉誠出版2015
福井健策『誰が「知」を独占するのか―デジタルアーカイブ戦争』(集英社新書)、集英社2014
時実象一『デジタル・アーカイブの最前線:知識・文化・感性を消滅させないために』(講談社BLUE BACKS)、講談社2015

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。