アーカイブズ学理論研究Ⅱ


  --アーカイブズ史―--
13B-F-002

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
第1学期  保坂 裕興 教授
第2学期  下重 直樹 准教授
4 D/M 通年 5

授業概要

人間と記憶・情報・記録の相互関係を歴史的に幅広くとらえる中で、アーカイブズ思想とアーカイブズ・システムが担ってきた役割を理解するとともに、アーカイブズが直面している現代的課題を明らかにすることを目標とする。
アーカイブズとは、個人や団体が生み出した記録のうち、永続的な利用価値を有する重要記録のことであるが、その保存・活用を行うプログラムや組織のことをも指し示す言葉である。これを支える専門職=アーキビストは、記録を的確に把握し、可用性を維持するとともに、重要な記録を最終的に人類に普遍的な情報資源として保存し、過去の省察、人間・社会の理解と共感、未来の創造のために提供する使命を帯びている。
第1学期においては、前近代を範囲として日本と世界におけるアーカイブズの保存活用をめぐるいくつかの論議を取り上げる。また受講者の関心にしたがって、実際に先行研究論文を検討・紹介したり、アーカイブズ史研究の素材資料を収集・分析したりしてもらうことを通して、アーカイブズの多様な歴史について理解を深める。
第2学期においては、近現代以降の日本と世界のレコードキーピングの歴史的経過を、民主主義の基盤システムとしての近代的アーカイブズの成立や、植民地支配・戦争がもたらした影響などの問題にも視野を拡げ、現在進行形の課題についても取り上げていく。

授業の目的・内容

アーカイブズの歴史を学び理解することによって、アーカイブズの現代的役割についての自らの考え方を強固なものにすること。

授業計画

1 授業ガイダンス
2 無文字の社会と文字・文書による社会をめぐって
3 古代ギリシャ・ローマにおけるアーカイブズ
4 中世の教会アーカイブズ
5 日本古代律令制における文書管理
6 日本中世における文書主義とアーカイブズ
7 17世紀ヨーロッパにおける経験主義とアーカイブズ
8 日本近世における文書管理の展開
9 日本近世における領主階層の文書管理
10 日本近世における村における文書管理
11 受講生によるアーカイブズ史研究(書評ないし素材資料)の報告(1)
12 受講生によるアーカイブズ史研究(書評ないし素材資料)の報告(2)
13 受講生によるアーカイブズ史研究(書評ないし素材資料)の報告(3)
14 授業のまとめ
15 レポートの作成・提出
16 近代国民国家とアーカイブズ
17 日本の近代とアーカイブズ・システムの導入
18 アーカイバル・サイエンスの萌芽と受容
19 第一次大戦後の世界とアーカイブズの発展
20 戦後日本の「史料保存」とアーカイブズ運動
21 国立公文書館の誕生とその活動(1)
 公文書館法とアーカイブズの普及
22 国立公文書館の誕生とその活動(2)
 情報関連法制とアーカイブズ
23 専門職の育成とアーカイブズ学の形成
24 政策としての記録管理:日本における法制化を中心に
25 アーカイブズをめぐる今日的な課題
 説明責任とアイデンティティー、概念の拡張
26 受講生によるアーカイブズ史研究(書評ないし素材資料)の報告(4)
27 受講生によるアーカイブズ史研究(書評ないし素材資料)の報告(5)
28 受講生によるアーカイブズ史研究(書評ないし素材資料)の報告(6)
29 授業のまとめ
30 レポートの作成・提出

授業方法

講義と受講者の報告により進める。必要に応じてグループワークやディスカッションを積極的に取り入れる。

準備学習

事前に参考文献のうち2~3冊を通読しておくことが望ましい。

成績評価の方法

レポート:60%(授業内容の一部をふまえ、自らの研究関心や課題に応じて思考を展開させる。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):40%(授業やディスカッションへの積極的参加)
博士前期課程学生については博士前期課程科目の基準により、博士後期課程学生については博士後期課程科目の基準により成績を評価する。

安藤正人・青山英幸編著『記録史料の管理と文書館』、北海道大学図書刊行会1996
上島有『中世アーカイブズ学序説』、思文閣出版2015
ウォルター・J. オング『声の文化と文字の文化』、藤原書店1991
高野修『日本の文書館』(岩田書院ブックレット2)、岩田書院1997
安藤正人『アジアのアーカイブズと日本―記録を守り記憶を伝える―』(岩田書院ブックレット13)、岩田書院2009
青山英幸『アーカイブズとアーカイバル・サイエンス』、岩田書院2004
歴史人類学会編『国民国家とアーカイブズ』、日本図書センター1999
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会編『日本のアーカイブズ論』、岩田書院2003
安藤正人ほか編『歴史学が問う公文書の管理と情報公開―特定秘密保護法下の課題』、大月書店2015
このほかについては授業時に順次示す。

第1回目の授業に必ず出席のこと。