アーカイブズ学理論研究Ⅰ
基礎となる理論と知識―
13B-F-001

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
下重 直樹 准教授 4 D/M 通年 1

授業概要

人類は、その知的営為を記録情報として次の世代に継承していくことで社会を進歩させてきた。アーカイブズとは、個人や団体が生み出した記録のうち、永続的な利用価値を有する重要記録のことであるが、その保存・活用を行うプログラムや組織のことをも指し示す言葉である。これを支える専門職=アーキビストは、記録を的確に把握し、可用性を維持するとともに、重要な記録を最終的に人類に普遍的な情報資源として保存し、過去の省察、人間・社会の理解と共感、未来の創造のために提供する使命を帯びている。
アーカイブズをめぐる環境は近年めまぐるしく変化を遂げており、日本ではようやく専門職としてのアーキビストの育成が政策課題となりつつある。この「黎明期」において将来の社会の知的資源・インフラとしてのアーカイブズを支える人材となるためには、腰を据えて基本的な理論や専門職としての態度を身につけていく必要がある。
この授業は、アーキビストの専門性の中核を形成する概念や基礎となる考え方、論点等について講じ、考究していく。

到達目標

アーカイブズを支えるアーキビストとしての専門性を担保する基本的な概念・理論、役割などを理解したうえで、調査・報告・討論を重ねることにより、それぞれの研究関心や実践を深めるうえでの課題に向き合うための思索能力を養成し、将来において自ら問題解決をはかる力の獲得につなげることを目標とする。

授業計画

1 オリエンテーション 授業の目的、進め方、報告の分担など
2 アーカイブズ学序論(1)基本的概念
3 アーカイブズ学序論(2)法制度と理論の概史
4 アーカイブズ学序論(3)法制度と理論の概史
5 専門職―アーキビスト論(1)専門職制度、倫理綱領など
6 専門職―アーキビスト論(2)グループ討論
7 基礎理論(出所と原秩序維持)
 Keeping Archives(第1章)講読
8 演習と討論
9 基礎理論(アーカイブズ施設/保存(1))
 Keeping Archives(第3章及び第4章)購読
10 基礎理論(アーカイブズ施設/保存(2))
 Keeping Archives(第3章及び第4章)購読
11 基礎理論(アーカイブズ施設/保存(3))
 Keeping Archives(第3章及び第4章)購読
12 演習と討論
13 報告(前期レポートのテーマ、課題設定など)
14 総括
15 レポートの作成・提出
16 前期レポートに関する報告と討議
17 基礎理論(ライフサイクルとレコード・コンティニュアム)
 Keeping Archives(第1章)講読
18 演習と討論
19 基礎理論(編成と記述(1))
 Keeping Archives(第8章)講読
20 基礎理論(編成と記述(2))
 Keeping Archives(第8章)講読
21 演習と討論
22 基礎理論(評価選別)
23 演習と討論
24 基礎理論(ドキュメンテーション活動)
25 演習と討論
 Keeping Archives(第9章)講読
26 基礎理論(サービス・普及活動)
  Keeping Archives(第14章)講読
27 演習と討論
28 報告(後期レポートのテーマ、課題設定など)
29 総括
30 レポートの作成・提出
授業の計画は参加者の関心や経歴、専門性に応じて変更する場合がある。

授業方法

講義と文献講読(分担報告)、報告により進める。必要に応じてグループワークやディスカッションを積極的に取り入れる。

準備学習

第2回の授業に先立ち、教科書として指定した『入門 アーカイブズの世界』(特にpp.47-64)を読んでおくこと。
このほか、教科書及び配布資料を指示に従って読み進めておくこと。

成績評価の方法

レポート:60%(授業内容の一部をふまえ、自らの研究関心や課題に応じて思考を展開させる。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):40%(授業への積極的参加とテキストの分担報告。)
上記により総合的に評価する。

教科書

記録管理学会・日本アーカイブズ学会『入門 アーカイブズの世界』、日外アソシエーツ2006
国立国文学研究資料館史料館編『アーカイブズの科学』、上・下、柏書房2003
Jackie Bettington eds., Keeping Archives, 3rd Edition, Australian Society of Archivists, 2008
『アーカイブズの科学』は、現在のところ日本語で読むことのできる最も重要な研究書であり、他の授業においても普通に参照が求められる。Keeping Archivesは、世界中で最も広く用いられている教科書の一つである。このうち、本授業では第1、3、4、8、9、14章を対象とする。他の章は他の授業で扱うこととなる。Keeping Archivesは共同購入する予定である。

参考文献

青山英幸・安藤正人編著『記録史料の管理と文書館』、北海道大学図書刊行会1996
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会編『日本のアーカイブズ論』、岩田書院2003
安藤正人『記録史料学と現代』、吉川弘文館1998

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

アーカイブズ学専攻では、本授業科目を博士前期課程第1年次に履修すべき科目に指定している。