※日本文学史特殊研究
日本古典書誌学入門―
133-F-008

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
佐々木 孝浩 講師 4 D/M 通年 3

授業概要

日本古典文学研究の現状に閉塞感があるとしたら、その理由の一つは、既存の翻刻や影印のみを利用する研究の方法にあると思われます。古典作品は基本的に書物に保存されて伝存してきました。古典作品は何らかの形で書物の制約を受けて存在しているのです。従って、作品の器たる書物を学ぶことは、本文の読解からは得ることができない、作品に関する様々な情報を知ることにつながるのです。その知見を利用して、改めて本文研究を行えば、従来の研究では到達することのできなかった領域に達することも可能となるはずです。自分が専門とする作品なりジャンルなりの古い書物(古典籍)を、自分で取り扱え、自分で評価して使用することができれば、より自由で高度な研究が可能になるのです。本授業では、そうした書物に関する知識を身に付けたいという方のために、古典籍を対象とする学問である日本古典書誌学の基礎的な知識とその研究方法を、できるだけ沢山の原物を見たり触れたりしながら説明していきたいと思います。

到達目標

 自分が対象としたい作品が保存されたの古典籍を取り扱え、正しく評価して研究に活用することができるようなるための、書誌学の基本的な知識を身に付ける。具体的には以下の3点である。
 1.装訂の種類とその特徴が説明できるようになる。
 2.装訂と保存される内容の相関関係が説明できるようになる。
 3.書誌学を研究に活用できるようになる。

授業計画

1 授業内容の説明:古典文学研究と書誌学の関係。
2 書誌学の基礎1:書物に用いられる和紙の種類1
3 書誌学の基礎2:書物に用いられる和紙の種類2
4 書誌学の基礎3:装訂の種類1。
5 書誌学の基礎4:装訂の種類2。
6 書誌学の基礎5:装訂の種類3。
7 書誌学の基礎6:改装の問題。
8 書誌学の基礎7:装訂と内容の関連。
9 書誌学の基礎8:書物と部位1。
10 書誌学の基礎9:書物と部位2。
11 書誌学の基礎10:写本と版本の関係。
12 書誌学の基礎11:版本と本文。
13 書誌学の基礎12:版本の歴史1。
14 第1学期のまとめと補足。
15 振り返り。
16 書誌学の応用1:書物と書流の関係。
17 書誌学の応用2:古筆切の世界。
18 書誌学の応用3:古筆鑑定家と鑑定書。
19 書誌学の応用4:短冊の世界。
20 書誌学の応用5:書物の調査法1。
21 書誌学の応用6:書物の調査法2。
22 書誌学の応用7:書物の調査法3。
23 書誌学の応用8:書物の調査法4。
24 書誌学の実践1:書物の調査研究1。
25 書誌学の実践2:書物の調査研究2。
26 書誌学の実践3:書物の調査研究3。
27 書誌学の実践4:書物の調査研究4。
28 書誌学の実践5:書物の調査研究5。
29 通年のまとめと補足。
30 振り返り。

授業方法

できるだけ多くの原資料に触れながら、対象物に即した解説を行う形で講義を進めて行きます。第2学期後半には履修者の研究テーマにそった調査対象を決め、実際の調査を行ってレポートを纏めていただきます。

準備学習

・授業前に関連の参考文献を読んでおくこと(約30分)。 
・授業中に展覧会などを紹介するので、できるだけ出かけて古典籍に親しむようにする。

成績評価の方法

レポート:60%(知識を自分の研究に応用する能力を問います。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):40%(理由のない欠席・遅刻は大きな減点となります。)
提出されたレポートに対するコメントを伝えます。

教科書

プリントを配布します。

参考文献

藤井隆『日本古典書誌学総説』、和泉書院1991
櫛笥節男『宮内庁書陵部 書庫渉獵―書写と装訂』、おうふう2006
堀川貴司『書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む』、勉誠出版2010
大沼晴暉『図書大概』、汲古書院2011
佐々木孝浩『日本古典書誌学論』、笠間書院2016
この他講義中に適宜紹介します。

履修上の注意

履修者数制限あり。(30名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

・書誌学の知識も、調査の経験も必要ありません。 
・毎回必ず原資料に触れていただきますので、授業の前には石鹸で手を洗って下さい。