日本の統治構造
執政中枢論から見た日本の政治―
112-F-202

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
野中 尚人 教授 2 D/M 第1学期 5

授業概要

日本の政治システムについて、執政中枢論を用いながら、他の議院内閣制の国家との比較分析を行う。1990年代以降、特に小泉政権の5年間を経て、日本の政治システムには様々な変化が生じ、続いて2度の政権交代が起った。それらの変化の意味を、他の先進民主主義国との比較の上で理解するということが目的であるが、その際、執政中枢論という分析のフレームワークに依拠する。15回は大きく分けると3つの部分から成る。第1は、執政中枢論について基礎的な理解を身につけることであり、ここでは英語の文献を用いる。次に、自民党政権の仕組みについて、理解を深め、さらに政権交代と民主党の政治主導への取り組み、さらにその政権運営と統治機構改革の挫折について検討する。第3の部分は、学生による事例研究報告である。日本の執政中枢にはどのような特徴があるのか、構造や制度面では何か特徴的なものがあるのか、ないしは、そもそも執政中枢における意思決定や総合調整の実態はどのようになっているのか、そして、政権交代とどのように関連し、いかなる変容が生じつつあるか、などについて事例研究の上、報告してもらい討論を行う。想定される例を挙げれば、内閣の構成や機能の仕方、閣議のアジェンダ、政務三役の役割、政府-与党間の調整、総理大臣のリーダーシップ、内閣官房の組織など、様々なものが考えられる。

到達目標

執政中枢論という理論枠組みに基づきながら、比較の観点から日本の政治をより多角的かつ実態的に把握することができるようになる。また事例研究を通じて分析力と考察力の涵養にもつながる。

授業計画

1 イントロダクション 執政中枢論の背景と授業の目的
2 執政中枢論 ① 基本的な考え方と骨格
3 執政中枢論 ② イギリスの事例
4 執政中枢論 ③ フランスの事例
5 自民党システムの形成・構造①
6 自民党システムの形成・構造②
7 自民党システムの崩壊と政権交代 90年代の変化と小泉改革
8 民主党政権と政治主導
9 第2-3次安倍政権での執政中枢
10 学生による事例報告・討論①
11 学生による事例報告・討論②
12 学生による事例報告・討論③
13 学生による事例報告・討論④
14 全体としての総括と討論
15 予備日

授業方法

前半はテキストの講読と発表ならびにそれに対する討論と教員によるコメント・解説。後半は学生による事例の報告(レポート)とそれをめぐる討論。

準備学習

おおむね前半は文献に関わる予習が必要で、1-2時間程度。
後半は事例研究に向けて担当した場合は集中的な準備時間が必要。事例報告までに、各自が10時間程度の調査と分析を行うことが求められる。

成績評価の方法

レポート:50%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):50%

教科書

佐藤誠三郎・松崎哲久『自民党政権』、中央公論社1986
飯尾潤『日本の統治構造』、中央公論社2007
北岡伸一『自民党政権党の38年』、読売新聞社1995
日本経済新聞社『自民党政調会』、日本経済新聞社1983
佐々木毅『政治の精神』、岩波書店2009
野中尚人『自民党政治の終わり』、筑摩書房2008
読売新聞政治部『自民党を壊した男 小泉政権1500日の真実』、新潮社2005
山脇岳志『郵政攻防』、朝日新聞社2005
P. Dunleavy and R.A.W. Rhodes, Prime Minister, Cabinet and Core Executive, St. Martin's Press, 1995
Ludger Helmes, Presidents, Prime Ministers, and Chancellars, Palgrave Macmillan, 2005
佐々木毅『ゼミナール現代日本政治』、日本経済新聞社2011
薬師寺克行『証言 民主党政権』、講談社2012
野中尚人・青木遙『政策会議と討論なき国会』、朝日新聞出版社2016

参考文献

佐々木毅『政治改革1800日の真実』、講談社1999
石原信雄『首相官邸の決断』、中央公論社1997
日本行政学会『内閣制度の研究』、ぎょうせい1987
清水真人『官邸主導』、日本経済新聞社2006
飯島勲『小泉官邸秘録』、日本経済新聞社2006
大田弘子『経済財政諮問会議の戦い』、東洋経済新報社2006
竹中平蔵『構造改革の真実』、日本経済新聞社2006
大嶽秀夫・野中尚人『政治過程の比較分析』、放送大学教育振興会1999